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日経デザインの表紙になりました!!

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日経デザイン7月号の特集「中小企業にデザインの力を!」にて、光浦醸造の商品や取り組みを4ページにわたって掲載していただいています!
しかも表紙を「フロートレモンティーレモンハート」が飾っています!

日経デザインは定期購読でしか読めないため皆様のお目にかかる機会は少ないかもしれませんが、パッケージデザインやプロダクトデザインなどに興味のある方には内容の濃いおすすめの専門誌です。

アンチデザイン。私は「デザイン」という言葉が嫌いでした。

5年くらい前、零細企業にとっては重い出費である年間22,000円という金額の日経デザインの定期購読は本当に悩みました。だけど悩んだ末に「定期購読をしよう!」と決めた時に、嫌いだった「デザイン」という言葉に対してきちんと向き合おうとスイッチが入ったのをよく覚えています。

嫌いだった。というのも、私は昔から美術や芸術のセンスがなく、大人になってもクリエイティブな人たちと話をすると噛み合わないことが多かったり、そもそも「デザイン」という言葉そのものがちょっと気取った、捻くれた単語にしか思えなかったというのがあります。
そのうえこの仕事を始めたばかりのころ、ただ味噌や醤油を作って売りたいだけなのに付きまとってくるパッケージの問題にしばらく右往左往し、時には涙し、もどかしく、嫌な思いをたくさんしたものです。

「アンチデザイン。もうデザインで悩むのはやめよう。」
そう考え、一生懸命作ったお味噌をただビニル袋に入れて「光浦の麦味噌」とだけ書いてシンプルに売ろう。と決めて作ったのが「光うらの麦みそ」です。
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光うらの麦みそが教えてくれたこと。

初めてIllstrator(イラストレーターというグラフィックソフト)を使ってマウスで描いた「光浦の麦味噌」。ソフトが上手く使えないので「浦」や「味噌」をマウスで描くことが出来ず、仕方なく平仮名の「光うらの麦みそ」にしました。本当は色もつけたかったけど版代という予算上の都合もあって白1色に。(のちにJANコードが必要になり裏面は白と黒の2色になりました。)
これが中身とパッケージの全てを自分で作った私の最初の商品であり、今でも一番好きな商品です。

こんな単純な商品ですが、パッケージを自分で作ったことによって感じたことがいくつかありました。

  • 下手でも自分でパッケージを作ると愛着がわく。
  • 色数が少なかったら何とかなる。
  • 毎日味噌を作って配達ばかりだったので気晴らしになる。
  • パッケージと中身に境界線はない。(中身だけを作って製造者と呼べるのか?)
  • そもそも、こんなに楽しい作業を他人(デザイナー)に任せるなんてもったいない!

そういう経験からひとつひとつ商品を作るたびにパッケージも自分で作るという当然のような流れが生まれたのです。
そしてデザインという言葉はやっぱり嫌いだけど、切っても切れない問題だなと感じ始めた頃、日経デザインの定期購読を検討したのでした。

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「垢抜けていない」という最高の褒め言葉。

今回の特集記事の中に「プロのデザイナーから見ると垢抜けていないと感じる部分があるだろう。ただ、・・・」という一文がありますが確かにその通りで、私は今まで何十冊と日経デザインを読んできていますが、これほど垢抜けてない商品が大々的にズラリと紹介されているのを初めて見ました(笑)。統一感もなく、洗練もされてなく、同じ会社の商品だとは到底思えないし、デザイナーと呼ばれる人たちでは絶対に作らないラインナップです。
もしかすると今回、デザイン業界に「垢抜けないデザイン手法」という一石を投じたかもしれません(笑)。
ブランド力を高めるためには統一感が必要かもしれませんが、そんな先のことは考えずひとつひとつの商品づくりを中身からパッケージまでその時々の最善を尽くして向き合ってきた歴史であり、私にとっては子供の成長を見ているような愛着があります。
そして取材してくださったエディターの西山さんはそこに価値を見出していただき、素敵な特集記事を書いてくださったのです。ありがとうございます!

デザインってセンスじゃなくて量の問題。根性で何とかなる。

「デザイン」という言葉が嫌いではなくなったのは自分の中でデザインが経営としてもパッケージとしても表層的な部分だけの意味ではないと理解できたからです。そして昔は「自分にはセンスがない」と思っていたけど、それはただ圧倒的に知識の量が少ない状態だったのだと分かりました。
日経デザインを読むことで、定期的に良いデザインやそのワークフローなどを知識として仕入れることが出来て、空っぽだった引き出しに知識がどんどん埋まっていくような感覚を受けています。表現すべきは質ですが、そのために必要なのは質より圧倒的な量であり、努力・根性なんです。
あ、デザインってセンスじゃなくて量なんだ、根性で何とかなるんだと腑に落ちた瞬間、デザインという言葉が持っていた気取った部分が消え、受け入れることが出来たのです。
私にそれらを理解させてくれたのが日経デザインであり、そのような雑誌にこれほど大々的に掲載していただいたことは本当に光栄なことなのです。

中小企業にこそ日経デザインはおすすめです。

最近、中小企業の経営者の方とお話をすると、よくデザインの話題になります。「取り組む価値があるの?」「デザイナーにお願いしたらいくらくらいかかるの?」「デザイナーにお願いしたけど全然売れんかった。」などなど、デザインが大事な部分だとは思っているけど向き合うのが恥ずかしかったり費用対効果の確実性を求めたりして取り組めていなかったり失敗してしまったと悔やまれているところが多いようです。
デザインに対して「???」だったりデザイン嫌いな人にこそワクチンのような処方として日経デザインの定期購読をお勧めしたいです。(回し者ではありません。)

なんだかデザインデザインと連呼してきましたが、私たちメーカーにとって一番大事なのはパッケージではなく中身であることは間違いありませんし、私たちはそこの部分が一番大切なことであると日頃から意識しているつもりです。
これからも中身の研鑽を怠らず、垢抜けないデザインによってちょっとしたアクセントを付けて、食卓を楽しく豊かにする商品づくりに取り組んでいき、日本の豊かな食文化を少しでも支えていけたらと考えています。

ちょっとコーフンしてしまい、長文失礼しました笑。