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海辺のカフカ   ~ 私が出会ったカフカ少年 ~



『海辺のカフカ(上・下)』を一気に読みました。
村上春樹の作品は基本的に抽象的な展開や多重人格的視点が多いので、一気に読まないと
独特の空虚感を持つシュールで不思議な “春樹ワールド” へ辿りつけないんですよねー。

・・・と、学生時代に『ねじまき鳥クロニクル』を読破できなかったことへの言い訳を思いつく(笑)。

『海辺のカフカ』の主人公は15歳の少年。(以下、特に物語のネタばらしはありません)

私は2年前、このカフカ少年のように強く、思慮深い16歳の少年に出会いました。

彼は15歳くらいまでに色んな悪さや遊びをほとんどやり尽くしたらしく(笑)、出会った16歳の頃には自分が本当にやりたいことを真剣に模索している最中でした。

そして17歳の春、彼は日本料理の料理人になるべく、京都へ修行に行ったのです。

彼はどんな厳しい環境でも生きていけるタフな身体と精神を持っています。
尚且つ、他人への配慮や気配りが素晴らしく、本当に優しい少年です。

年齢や経験、学力なんていうものは全く壁にはならず、とにかく『人間力』が強い。

彼を見ていると、世の中には若くしてこんな強い人間もいるんだなーと心底感心してしまいます。
間違いなく素晴らしい料理人になってくれることでしょう。

『海辺のカフカ』を読んで、そんな彼のことを思い出したのです。

15歳といえば中学3年生。
私はその頃、将来やりたいことやチャレンジしたいことは全く何も考えてなかったし、他の人たちと違うことをする度胸なんて全くなかった。普通に高校、大学と進学していけばいいんだから
あと7年は無難に暮らせると高をくくっていたんでしょうね。
そしてその通り、無難な7年間を過ごしてしまった。
(特に悲観的な意見ではないです。おそらく大多数の人が同じだったのだろうから。)

中学3年生なんて、思い出の中ではつい最近のような気がするけど、もう私も今年で30歳。
15歳の人生を2回も経験できる時間がすでに経過してしまったということなんですね・・・。

「世界一タフな15歳」にはとてもなれなかったけど、「世界一タフな29歳」にならなくては。

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