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私は味噌を製造している会社に入社したにもかかわらず、お恥ずかしながら味噌の製造過程を詳しくは知りませんでした。麦や大豆から作られていることは知っていたものの、麦や大豆がいったいどのような工程を経て味噌になっていくのか不思議でした。そこで、味噌がどのようにできるのか一から教えてもらったので、今回からシリーズでご紹介していきたいと思います。
第1話は、「麦と大豆が味噌に変わるひみつ」についてのお話です。
味噌には麦・米・豆などいろいろな種類があり地域によって好まれている味噌は違います。ここでは弊社の所在地である山口県で主流の麦みそについてお話したいと思います。
味噌は発酵食品の仲間であることは知られていますが、麦や大豆はどのように発酵して味噌に変わっていくのでしょうか。
そのひみつは「麹(こうじ)」です。麹とはカビ菌の一種です。麹菌(たねこうじ)により麦から麦麹を作り、大豆や塩などと合わせて発酵させ、麦味噌は作られています。
「カビ」と聞くと「食べ物なのに大丈夫なの?」と思ってしまいますが、食品として食べることができる菌です。食品の中でよく知られているおいしい菌には乳酸菌や納豆菌などがありますが、麹もこれらの菌と同じように「おいしい」と感じられる菌の一種です。
空気中には様々な菌が混在しています。その様々な菌にそれぞれ好みの温度や湿度・場所があるので、良い麹を作るためには温度や湿度の管理がとても重要です。麹の好む温度・湿度で麹を寝かせることで、麹菌が活発に活動しやすい環境を作り発酵させていきます。
こちらは麦麹の写真です。蒸した麦に種麹をつけた日から2日経過した状態です。表面の白くふわふわしたものが麹の菌糸です。麹の酵素ででんぷんやたんぱく質などを分解しながら繁殖しているので、麹は食べてみると甘いんですよ。
この麹が大豆や塩と合わさり発酵することでおいしい味噌ができます。
以上、第1話は味噌作りに欠かせない麹についてのご紹介でした。次回、第2話からは味噌作りがどのような手順で進んでいくのか、味噌作りの工程についてお話したいと思います。